この記事の監修者

デイビッド・チャン / David Cheung
アジア各国公認税理士
20年以上の経験を持つ国際税務の専門家。アジア主要国の低税率制度を活用した資産設計を得意とする。複雑な国際税務に適応し、最適な財務戦略を提供。日本語も堪能で、アジア圏の日本人投資家・企業からの信頼も厚い。

サミー・アル・ハッサン / Sammy Al Hassan
UAE弁護士
ドバイを拠点に会社法、不動産法、国際投資法を専門とする弁護士。ドバイでの企業設立、ビザ取得、居住権、商業ライセンスに関する包括的な法務サポートを提供。UAEの法制度を深く理解し、実用的な解決策を提示します。
「オフショア法人を設立すれば、法人税がゼロになって大幅に節税できる」 「海外に会社を作って、日本の高い税金から解放されたい」
このような魅力的な話は、多くの経営者や富裕層の方々にとって、一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかしその一方で、「オフショア法人を利用して脱税し、巨額の追徴課税を受けた」といったニュースが世間を騒がせることもあります。
この「合法的な節税」と「違法な脱税」の境界線は、一体どこにあるのでしょうか?そして、なぜ世の中の「オフショア節税スキーム」の多くが失敗に終わるのでしょうか?
この記事を最後までお読みいただければ、「オフショア法人での節税」という言葉の裏に潜むリスクを正しく理解し、本当に合法的なメリットを享受するための具体的な道筋が見えます。
- 日本の高い法人税が、事業の成長と利益を圧迫している
- どこで法人を設立すれば、税務上のメリットを最大化できるか分からない
- 海外の法律が複雑で、自社だけでの手続きにリスクを感じている

現在、上記のようなお困りごとがありましたら、オフショア法人設立で多数の実績を持つ我々『タックスシフト株式会社』へご相談ください。国際税務に精通した専門家が、お客様の事業内容や目的に合わせて最適な国・地域をご提案。法人登記から銀行口座開設、設立後のコンプライアンス管理まで、複雑な手続きをワンストップで代行いたします。個人の資産管理からグローバル事業展開まで、ニーズに合わせた最適なプランで強力にサポートいたします。
なぜオフショア法人で「節税」が可能になるのか?基本の仕組み

まず、オフショア法人で税負担の軽減が期待できる基本的な仕組みは、法人税率が0%または極めて低い「軽課税地域」に法人を設立し、その法人が得た利益には、設立した国や地域の税法が適用される、という国際税務の原則に基づいています。
例えば、日本法人が1億円の利益を上げれば約3,000万円の法人税がかかりますが、法人税率0%の国で設立した法人が海外事業で1億円の利益を上げれば、その法人に対する法人税は原則0円です。
しかし、これはあくまで基本原則。あなたが「日本の居住者」である限り、このメリットはほとんど享受できません。なぜなら、日本の税法が、国境を越えてあなたに課税する強力なルールを持っているからです。
日本の「外国子会社合算税制(CFC税制)」とは?
オフショア法人を利用した節税を検討する上で、避けては通れない最重要の法律が「外国子会社合算税制」です。一般的に「タックスヘイブン対策税制」とも呼ばれています。 ※CFCは Controlled Foreign Company の略で、日本の親会社などに支配されている外国子会社のことを指します。
この制度の目的は、「日本の企業や個人が、税率の低い海外に実体のない子会社(ペーパーカンパニー)を作り、そこに所得を移すことで日本の税金を不当に逃れることを防ぐ」ことにあります。
この税制が適用されると、たとえ海外の子会社が利益を日本に送金していなくても、その子会社の利益は日本の親会社や株主(個人)の所得と強制的に合算され、日本で課税されてしまうのです。
どのような場合にCFC税制が適用されるのか?
CFC税制が適用されるかどうかの判定は複雑ですが、特に重要なのが「経済活動基準」と呼ばれる4つの要件です。海外の子会社が、これらの基準をすべて満たしている場合は、原則としてCFC税制の適用を免れます。逆に言えば、一つでも満たさない項目があれば、原則として合算課税の対象となります。
【経済活動基準の4つの要件】
CFC税制が適用されるかどうかの判定は複雑ですが、特に重要なのが「経済活動基準」と呼ばれる4つの要件です。海外の子会社が、これらの基準をすべて満たしている場合は、原則としてCFC税制の適用を免れます。逆に言えば、一つでも満たさない項目があれば、原則として合算課税の対象となります。
【経済活動基準の4つの要件】
- 事業基準(主たる事業が株式保有等でないこと) その法人の主たる事業が、株式保有や著作権提供などの「受動的な所得」を生む事業ではないこと。製造業、卸売業、ITサービス業といった能動的な事業を行っている必要があります。
- 実体基準(本店所在地国に事業に必要な事務所等を有すること) その国に、事業を行うために必要な事務所、店舗、工場などの固定された施設を保有していること。 ※【注意】単なる登記上の住所(私書箱)や、実態のないレンタルオフィス、バーチャルオフィスでは、この基準を満たさないと判断されるリスクが非常に高くなります。
- 管理支配基準(本店所在地国において事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること) 法人の事業に関する重要な意思決定や日々の運営が、その設立された国で、自社の役員や従業員によって行われていること。 ※【注意】役員は名義だけで、実際の業務指示や経営判断はすべて日本の親会社や株主がリモートで行っている、という状態ではこの基準を満たしているとは言えません。「現地に実権を持つ従業員がいるか」「取締役会が現地で開かれているか」などが厳しく問われます。
- 非関連者基準 または 所在地国基準(事業内容に応じて、主として関連者以外の者と取引を行っているかなど) 卸売業などの場合、その取引の主要な部分を、支配株主などの「関連者」以外の第三者と行っていることが求められます。
これらの基準は、「そのオフショア法人は、単なる税金逃れのための箱(ペーパーカンパニー)ではなく、現地でちゃんと事業活動を行っていますか?」という点を厳しく確認するためのものです。
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合法な節税と違法な脱税の境界線
CFC税制を理解すると、合法と違法の境界線がどこにあるのかが明確になります。
OK例:合法な節税 | NG例:違法な脱税 | |
事業の実体 | ドバイにオフィスを構え、現地採用の従業員が中東向けのアプリ開発・運営・マーケティングを行う。 | BVIに法人を登記しただけ。実際の業務(開発・運営)は全て日本のオフィスで行っている。 |
利益の源泉 | 現地での事業活動によって、正当に海外で生み出された利益。 | 日本の事業で得た利益を、コンサルティング料などの名目で、実態のないオフショア法人に付け替える。 |
管理支配 | ドバイの役員が現地の事業戦略を決定し、日々の業務を管理している。 | 役員は名義だけで、事業に関する全ての指示を日本のオーナーがメールや電話で行っている。 |
税務申告 | オフショア法人を設立した事実と、そこからの配当などを日本の税務当局に正しく申告する。 | オフショア法人の存在自体を隠し、所得を申告しない。 |
結論 | 正当な海外事業による利益の適正な計上(タックスプランニング) | 所得の意図的な隠蔽や所得移転(タックスイベイジョン) |
境界線は「正当な事業実体があるかどうか」に尽きます。海外でビジネスを行い、そこで得た利益に対して現地の(低い)税率が適用されるのは当然の権利です。しかし、日本で得た利益を、実体のない海外法人に付け替えて日本の税金を逃れることは、脱税行為になってしまいます。
オフショア法人を利用した「節税スキーム」に潜む罠

インターネットで検索すると、「オフショア法人で節税」を謳う様々な情報やコンサルタントが見つかります。しかし、その中には非常に危険なものが含まれているため、注意が必要です。
- 「ペーパーカンパニーでも大丈夫」という甘い言葉 本記事で解説した通り、実体のないペーパーカンパニーはCFC税制の格好のターゲットです。このような提案は、現在の税法を全く理解していないか、意図的にリスクを隠しているかのどちらかであり、絶対に信用してはいけません。
- 「CRSに非加盟の国ならバレない」という誤った情報 CRS(共通報告基準)は非居住者の口座情報を自動的に交換する仕組みですが、国税当局はCRS以外にも多様な情報網を持っており、「バレない」という考えは極めて危険です。
- 「出口戦略」を考慮しない短期的な提案 オフショア法人に利益を蓄積しても、その利益を最終的に創業者が個人として使うためには、役員報酬や配当として引き出す必要があります。あなたが日本の居住者である限り、その引き出した利益には最大55%の所得税・住民税が課税されます。これでは、法人税を節税した意味がありません。
では、どうすればいいのか?唯一の正しい解決策
ここまでの説明で、「日本の居住者のままでは、オフショア法人で節税するのはほぼ不可能だ」ということがお分かりいただけたかと思います。
では、どうすれば『合法的にオフショア法人のメリットを最大限に活用できるのでしょうか。』 の解決策は、 「オフショア法人の設立」と「経営者自身の海外移住(日本の非居住者化)」をセットで行うことです。
なぜなら、この方法によって、これまで述べてきたすべての問題を合法的にクリアできます。
- CFC税制の壁を越える 経営者自身が海外に移住し、現地で事業の管理・支配を行うことで、「管理支配基準」や「実体基準」を満たしやすくなります。これにより、CFC税制の適用リスクを根本から低減できます。
- 個人の所得課税から解放される あなた自身が日本の「非居住者」になるため、オフショア法人から役員報酬や配当を受け取っても、日本の所得税(最大55%)の課税対象外となります。移住先の税制(例えばドバイなら所得税0%)が適用されるのです。
これが、法人に蓄積した利益を低い税負担で個人に移転できます。
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オフショア法人に関するよくある質問
最後に、オフショア法人に関するよくある質問の中から特に多い10個を取り上げて紹介します。
- オフショア法人を設立すれば、日本の法人税はかからなくなりますか?
-
いいえ、日本の居住者である限り、原則として日本の法人税がかかる可能性があります。 オフショア法人が設立された国の税法では法人税がゼロでも、あなたが日本の居住者である場合、日本の「外国子会社合算税制(CFC税制)」が適用される可能性があるからです。この税制が適用されると、オフショア法人の利益が日本の所得と合算され、日本の法人税が課税されます。この問題をクリアするには、法人に事業の実体を持たせることや、経営者自身が海外に移住することが不可欠です。
- 外国子会社合算税制(CFC税制)が適用されるかどうかは、どうやって判断されますか?
-
主に「事業の実体があるかどうか」を判断する4つの「経済活動基準」によって決まります。 具体的には、その法人が設立国で事業を行うための事務所や従業員を有しているか、重要な経営判断が現地で行われているか、能動的な事業活動を行っているか、といった点が厳しく審査されます。単なる登記上の住所だけで、実態を伴わない「ペーパーカンパニー」と見なされると、この税制が適用される可能性が極めて高くなります。
- 「合法的な節税」と「違法な脱税」の具体的な違いは何ですか?
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境界線は「法律の範囲内で正しく行っているか」にあります。 合法的な節税は、国際税務や各国の法律を正しく理解し、その仕組みを利用して税負担を最適化することです。例えば、海外での正当な事業活動で得た利益を、その国の低い税率で申告するケースです。一方、違法な脱税は、所得を意図的に隠したり、日本の所得を実体のない海外法人に付け替えたりする行為で、明らかな犯罪です。
- 経営者自身が海外に移住しないと、オフショア法人での節税は難しいですか?
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はい、日本の非居住者となることが、合法的に節税する上で最も重要な鍵となります。 日本の居住者のままでは、オフショア法人から受け取った役員報酬や配当に日本の所得税(最大55%)が課税されてしまいます。これでは、法人税を節税した意味がなくなってしまいます。経営者が海外に移住することで、法人に実体を持たせやすくなる上、個人の所得税も移住先の税制(例:ドバイなら0%)が適用されるため、税務上のメリットを最大限に享受できます。
- 「オフショア」と呼ばれる国は、法律がない無法地帯というイメージがありますが、実際はどうですか?
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法律のない無法地帯ではありません。 オフショア地域は、その国が定めた法律に基づいて成り立っているれっきとした国です。その中には、特定の産業を誘致するために、意図的に法人税率などを低く設定している地域が多くあります。法制度が整っているからこそ、国際的なビジネスや資産管理のプラットフォームとして活用されているのです。
- 銀行口座開設が年々難しくなっていると聞きましたが、なぜですか?
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世界的なマネーロンダリング対策(資金洗浄)の強化が主な理由です。 特にオフショア法人の口座開設に対して、金融機関は厳格な審査を行うようになっています。事業の実体、資金の出所、役員の経歴などを詳細に証明できなければ、口座開設を断られるケースが多発しています。そのため、現地銀行と強固な関係を持つ専門家のサポートなしに口座開設を進めるのは非常に困難です。
- オフショア法人を設立する際、最低限どのくらいの知識が必要ですか?
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ご自身で全てを判断できるほどの深い知識は不要ですが、「正しい知識を持つ専門家を選ぶ」ための基礎知識は必須です。 特に、日本のCFC税制や、合法と脱税の境界線、そして「経営者自身の海外移住が不可欠であること」などの核心的なポイントを理解しておくことが重要です。これにより、「ペーパーカンパニーでも大丈夫」「絶対にバレない」といった誤った情報を見抜き、信頼できる専門家を見極めることができます。
- オフショア法人の設立を検討する上で、「出口戦略」とは何ですか?
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オフショア法人に蓄積した利益を、最終的にあなたが個人として使うための戦略のことです。 法人に利益を蓄積しても、それを個人として引き出す際に、あなたが日本の居住者であれば所得税がかかります。オフショア法人のメリットを最大化するには、この「出口」の段階で税金がかからないようにすることが重要です。「法人設立」と「経営者自身の海外移住」をセットで行うことが、この出口戦略を成功させる唯一の道と言えます。
- どのような事業が、オフショア法人での節税に向いていますか?
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物理的な場所に縛られず、世界中で事業を展開できるビジネスです。 具体的には、Web制作、アプリ開発、オンラインコンサルティング、YouTuber、国際的なeコマース、そして仮想通貨取引などが挙げられます。これらの事業は、オフショア法人を設立した国で事業の実体を持ちやすく、収益源も国際的であるため、オフショア法人のメリットを最大限に享受しやすいです。
- オフショア法人設立後、日本の税務署に何か報告する義務はありますか?
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はい、あなたが日本の居住者である場合、「国外財産調書」などの提出義務が発生します。 国外に5,000万円を超える財産がある場合、毎年税務署に提出する必要があります。また、オフショア法人の情報や、そこからの配当などを正しく申告する義務もあります。これらの報告義務を怠ると、脱税と見なされるリスクがあるため、専門家の指示に従い、適切に手続きを行うことが不可欠です。
まとめ:専門家との二人三脚で、合法的に設立をしていきましょう
この記事の最も重要なポイントをまとめます。
- オフショア法人単体での節税は、日本の居住者である限り「CFC税制」の壁に阻まれ、ほぼ不可能。
- 合法と違法の境界線は「事業実体の有無」と「経営者の管理場所」にある。
- 唯一の正しい解決策は、「法人設立」と「経営者自身の海外移住(非居住者化)」をセットで行うこと。
- この一体のプロジェクトは、国際税務、各国の会社法、ビザ、移住後の生活まで熟知した専門家のサポートが不可欠。
オフショア法人を活用したグローバルな事業展開や税務の最適化は、正しい知識と手順を踏めば、あなたのビジネスと人生を飛躍させる強力な一手となります。
タックスシフトは、単なる法人設立の代行業者ではありません。 私たちは、この「法人設立」と「個人の移住」を一体のプロジェクトとして捉え、国際税務に精通した日本の専門家と、現地の弁護士・会計士が連携し、お客様の状況に合わせた最適なスキームの設計から、法人設立、ビザ取得、銀行口座開設、そして移住後の生活まで、すべてをワンストップでサポートします。
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- 日本の高い法人税が、事業の成長と利益を圧迫している
- どこで法人を設立すれば、税務上のメリットを最大化できるか分からない
- 海外の法律が複雑で、自社だけでの手続きにリスクを感じている

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